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今ならまだ間に合う! 絶対入れないで!

jyanshi: 
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[player]煮付けにトウガラシいれてどうするの!? [二階堂美樹]まぁ、そういう考えの人も多いわよね……。レシピを見た時に入ってなかったから私も困ったんだけど……あなたもやはり入れない派なのね。 [player]煮付けは醤油と砂糖とみりんで作り出す甘じょっぱい味と照りが売りの料理でしょ? 辛さなんて完全に蛇足だって。そもそも辛さは味じゃなくて痛覚だし……あれの何がいいのか全然わからないよ。 [二階堂美樹]そこまで言うなら……わかったわ。あなた好みに作ってあげる。 そう言って二階堂さんは謎めいた微笑みとともに台所に戻っていった。 三十分後 わくわくしながらさらに三十分待つと、二階堂さんは次から次へと料理をテーブルに並べ始めた。 [二階堂美樹]あなたの好みに合わせて、好きそうな味付けで料理を作ってみたわよ。 と言われても……何度見ても目の前にあるのは黒ずんだ「もの」たちにしか見えない。フッ……ちょっと情報量が多すぎて私の脳では処理しきれないということかな。(現実逃避) さっきまでの回答を頑張って思い出しても、いったいどの選択を間違えて二階堂さんに私の好みを誤解させてしまったのかさっぱりわからないんだが……。 はてなマークだらけの脳内に、一姫の「逃げるにゃ」がふとよぎった。そっかそっか、そういうことだったか……。 遠い目をしている私をよそに、二階堂さんは微笑みながら黒いなにかを私の茶碗によそった。