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右へ行こう

jyanshi: 
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[player]そうだなあ……麻雀で考えると、右に座るのは下家。ある程度こっちで打牌をコントロール出来るから……右に行こう。 [撫子]その考え方、あんたらしいな。じゃあ、期待するとしようか。 この道はアスファルトに舗装されていて、撫子さんはバイクを軽快に走らせていく。 雲空が爽やかな初夏の空気を身体中に染み渡らせ、暑さもバイクが切り裂く風のおかげで吹き飛ばされる。車と違って「外殻」が無いぶん、肌で外の空気を感じられる。バイクにしかない魅力だよね。 そんな魅力的な旅も束の間、予想外の事態が起きた。 いつの間にか車やバイクがどんどんこの道に合流しており、私たちも包囲されてやむを得ず減速……まさかの渋滞だ。 キキーッというブレーキ音と共に、私たちのバイクはとうとう立ち往生した。 [撫子]こんなところで渋滞なんて、何があったんだ? [player]さっきの分かれ道で道間違ったかな……? この感じだと、どう考えても撫子さんが言ってた草原の絶景へと続く道じゃなさそうだし。 私の言葉に、周りの車の運転手たちがぱっとこちらを振り向いた。 [撫子]何だ? [player]いや……。 え、何事? [観光客]おい、姉ちゃんたちは「九つの夕日」を見に行くつもりなんだろ? この道であってるよ。 [player]! [player]! 並走するバイクのライダーが話しかけてきた。 [player]どうしてそれを……? [観光客]どうしてもなにも、ここにいる人は大体そこに向かってるからな。今一番人気のあるスポットだし、あんたたちもネットで見て来たんだろ? [観光客]あー、なるほど。姉ちゃんはだいぶ昔に来たことがある、とかだろ? でも最近ネットでバズってな、観光地として開発されたんだよ。 [観光客]開発される前はだぁれも来ない穴場スポットだったのによ……。でもあんな絶景じゃ、こうなるのも当然の流れだよな。 [player]撫子さんのお気に入りスポット、みんなに見つかっちゃったみたいだね。 [撫子]ああ。何か悪い予感がする。 道に従ってようやく目的地に着くと、撫子さんの予感が当たってしまった。 撫子さんの記憶の中の絶景スポットは、展望台など様々な人工物が周りを取り囲み、自由にバイクを走らせることもままならなくなった。 日暮れ時までまだ時間があるのに、大勢の観光客で辺り一帯が混み出した。写真撮影やライブ配信用のカメラを支える三脚があちこちに設置されていて、ますます歩きにくい。 それに加えて、雷雨が突然降り始めたせいで状況は混乱を極めた。私達はやむなく展望台から降りて、観光センターで雨が止むのを待つことに。 ……そんな訳で、夕日を眺めようという気持ちは、二人の中から完全に消え去った。 [player]今度一緒に旅する時は、やっぱり計画を立ててから行こう。 そんな思いを抱きながら、撫子さんとの旅を早々に終わらせた。